投資信託の情報を見ていると「基準価額」という言葉が必ず出てきますが、「そもそも何を表しているの?」「高いと割高ってこと?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、基準価額が高い=割高、低い=割安という判断は完全に間違いです。基準価額の意味を正しく理解しておかないと、ファンド選びで大きな失敗をしてしまう可能性があります。
この記事では、基準価額の仕組みや計算方法、正しい見方、そしてよくある勘違いまで、わかりやすく解説していきます。

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基準価額とは?まずは基本から
基準価額(きじゅんかがく)とは、投資信託1口あたりの値段のことです。株で言うところの「株価」に近い概念と考えるとイメージしやすいでしょう。
ちなみに「基準価額」であって「基準価格」ではありません。よく間違えている方がいますが、正しくは「額」の方です。
基準価額はどうやって決まるのか
基準価額は以下の計算式で算出されます。
基準価額 = 純資産総額 ÷ 総口数 × 10,000
もう少しわかりやすく説明すると、以下のステップで計算されています。
- ファンドが保有している株式や債券の時価総額を計算する(=純資産総額)
- 運用にかかるコスト(信託報酬など)を差し引く
- 投資家が保有している口数の合計で割る
- 1万口あたりに換算する
つまり基準価額は、ファンドに組み入れられている資産の価値が上がれば上がり、下がれば下がるというシンプルな仕組みです。
基準価額はいつ更新される?
基準価額は1日1回、その日の市場が閉まった後に計算されます。リアルタイムで変動するわけではありません。
- 国内株式型のファンド:当日の夕方〜夜に公表
- 海外資産を含むファンド:翌営業日に公表(時差の関係)
そのため「今の基準価額を見て即座に売買する」ということはできません。注文した時点では翌日以降の基準価額で約定することになります。これをブラインド方式と呼びます。

基準価額の見方|3つの重要ポイント
ポイント1:基準価額の「高い・低い」で割高・割安は判断できない
これは非常に多い勘違いです。基準価額が高いから割高、低いから割安というわけではありません。
たとえば以下のようなケースを考えてみてください。
- ファンドA:基準価額30,000円
- ファンドB:基準価額10,000円
「ファンドBの方が安くてお得では?」と思うかもしれませんが、これは間違いです。基準価額は設定来のリターンの蓄積を反映しているだけで、ファンドAの基準価額が高いのは運用開始以来3倍に成長しただけのことです。今後のリターンとは無関係なのです。
株の場合はPERやPBRで割安・割高を判断できますが、投資信託の基準価額にはそのような指標としての意味はありません。
ポイント2:基準価額の「推移」を見ることが大事
基準価額の絶対値よりも、時系列での推移(トレンド)を見ることが重要です。
- 右肩上がりで推移している → 運用が順調
- 横ばいや右肩下がり → 運用がうまくいっていない可能性
- 乱高下が激しい → リスクが大きい
基準価額のチャートは、各証券会社のサイトやモーニングスターなどで確認できます。
ポイント3:分配金が出ると基準価額は下がる
分配金を出すタイプのファンドは、分配金を支払った分だけ基準価額が下がります。これは利益が投資家に還元された結果であり、損をしているわけではありません。
ただし、元本を取り崩して分配金を出す「タコ足分配」をしているファンドもあるので要注意です。この場合は基準価額がどんどん下がっていきます。
長期の資産形成を目指すなら、分配金を出さない(再投資型の)ファンドを選ぶのがおすすめです。複利効果を最大限に活かせます。

基準価額を確認する方法
基準価額は以下の場所で確認できます。
証券会社のサイト・アプリ
自分が保有しているファンドであれば、証券会社のマイページで確認するのが最も手軽です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、どの証券会社でも基準価額は確認できます。
運用会社のサイト
たとえばeMAXIS Slimシリーズなら三菱UFJアセットマネジメントのサイト、ニッセイのファンドならニッセイアセットマネジメントのサイトで確認できます。
投資情報サイト
モーニングスターやYahoo!ファイナンスなどの投資情報サイトでも、基準価額の推移を確認できます。複数のファンドを比較する際に便利です。
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基準価額に関するよくある疑問
Q. 基準価額が下がったら買い時?
一概には言えません。基準価額が下がった理由が重要です。市場全体が下がっている(暴落)場合は、長期的に見れば買い時かもしれません。しかしファンドの運用自体に問題がある場合は、買い増しすべきではないこともあります。
積立投資をしている方は、基準価額の上下に関係なく淡々と買い続けるのが正解です。
Q. 基準価額が10,000円を下回ったら危険?
そのようなことはありません。10,000円は多くのファンドの設定時の基準価額であって、それを下回ったからといって危険なわけではありません。設定後に相場が下がっただけの話です。
大事なのは基準価額の絶対値ではなく、自分が購入した時点からの騰落率です。
Q. 基準価額と純資産総額、どちらを見るべき?
どちらも重要ですが、ファンド選びの際は純資産総額も必ずチェックしましょう。純資産総額が小さすぎるファンド(目安として30億円未満)は、繰上償還(強制的にファンドが終了すること)のリスクがあります。
基準価額はあくまで「自分の投資がどうなっているか」を確認するための指標、純資産総額はファンドの「健全性」を測る指標と考えるとわかりやすいでしょう。
基準価額を見るときにやりがちなNG行動
NG1:毎日基準価額をチェックして一喜一憂する
長期投資であれば、毎日の基準価額を確認する必要はありません。むしろ見ない方がよいです。毎日チェックしていると、下がったときに「売りたい」という衝動に駆られやすくなります。月1回、多くても週1回で十分です。
NG2:基準価額が高いファンドを避ける
先ほど解説した通り、基準価額が高い=割高ではありません。設定来のリターンが大きいだけです。むしろ基準価額が順調に上がっているファンドは、運用が優秀な証拠と言えます。
NG3:基準価額だけで売買を判断する
「基準価額が○○円になったら売ろう」という判断は、あまり意味がありません。大事なのは自分の投資目標やライフプランに基づいた判断です。
基準価額の短期的な変動に振り回されて売買を繰り返すと、手数料や税金で損をするだけでなく、長期投資の複利効果も失われます。基準価額は参考程度に見ておき、投資方針はブラさないことが大切です。

まとめ:基準価額は参考にしつつ、振り回されないこと
基準価額について押さえておくべきポイントをまとめます。
- 基準価額は投資信託1口あたりの値段
- 高い・低いで割高・割安は判断できない
- 大事なのは絶対値よりも推移(トレンド)
- 分配金が出ると基準価額は下がるが損ではない
- 毎日チェックする必要はない
基準価額はあくまで「現在の状況を把握するためのもの」であって、投資判断の主要な材料にはなりません。長期投資であれば、基準価額に振り回されず、淡々と積立を続けるのが最善の戦略です。
投資信託の基礎知識は投資信託協会で体系的に学べます。各ファンドの基準価額推移や比較はモーニングスターが便利です。投資全般の基礎知識については日本証券業協会のサイトも参考になります。
※この記事の情報は執筆時点のものです。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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