「新NISAを始めてみたいけれど、元本割れが怖い」――そんな不安を抱えている方は少なくありません。投資である以上、資産が一時的に減る可能性は確かに存在します。しかし、正しい知識と対策を身につけておけば、そのリスクは大幅に軽減できます。
NISAは「投資で得た利益にかかる税金を非課税にする制度」であり、「元本を保証する制度」ではありません。投資信託の基準価額は日々変動しますので、購入時より値下がりする場面は当然訪れます。
この記事では、新NISAで元本割れが起きる原因を丁寧に整理したうえで、リスクを最小限に抑えるための6つの具体的な対策をお伝えします。過去のデータに基づいたシミュレーションも交えながら解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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元本割れが起きる主な原因
株式市場の暴落
過去を振り返ると、大きな暴落はおよそ10年に1〜2回のペースで発生しています。
- ITバブル崩壊(2000年):約50%の下落
- リーマンショック(2008年):約50%の下落
- コロナショック(2020年):約30%の下落
こうした暴落局面では、NISA口座で保有している投資信託も大きく値下がりします。ただし、いずれの暴落も数年以内に回復している点は押さえておきたいポイントです。
為替変動の影響
全世界株式やS&P500のような海外資産に投資するファンドは、円高になると円建ての価値が下がります。たとえばドル円が150円から120円に円高が進んだ場合、それだけで基準価額が約20%下落する可能性があります。
金利変動の影響
債券を含むファンド(バランス型など)は、金利が上がると債券価格が下がるため、元本割れの要因になることがあります。

短期間での売却
投資を始めてすぐ値下がりしたときに、恐怖心から売却してしまうケースがあります。これは最も確実に損をするパターンです。市場の変動ではなく、自分自身の行動が損失を確定させてしまう典型例といえます。
元本割れの確率はどのくらいなのか
金融庁が公表しているデータによると、全世界株式に20年以上積立投資を続けた場合、過去の実績では元本割れの確率はほぼ0%となっています。
保有期間別の元本割れ確率(過去データに基づく)
| 保有期間 | 元本割れ確率(おおよそ) |
|---|---|
| 1年 | 約30% |
| 5年 | 約15% |
| 10年 | 約5% |
| 15年 | 約2% |
| 20年以上 | ほぼ0% |
これはあくまで過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。しかし、長期投資を続けるほど元本割れのリスクは着実に低下するという傾向は、データが明確に示しています。
対策1:長期投資を前提にする(最低15年以上)
最も効果的な対策は「長く持ち続けること」です。シンプルですが、これに勝る対策はありません。
15年以上保有した場合、過去のどのタイミングで投資を始めても、ほぼプラスのリターンになっています。リーマンショック直前の「最悪のタイミング」で投資を始めたとしても、15年後には大幅なプラスに転じていました。
投資期間が長いほど、複利効果が働き、一時的な暴落の影響も薄まります。「時間を味方につける」ことが、元本割れ対策の基本中の基本です。
対策2:分散投資でリスクを抑える
1つの銘柄や1つの国に集中投資するのはリスクが高い行為です。全世界株式のような幅広く分散された商品を選ぶことで、特定の企業や国の影響を受けにくくなります。
分散には以下の種類があります。
- 地域の分散:日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、新興国にも投資する
- 銘柄の分散:数百〜数千の企業に分散して投資する
- 時間の分散:一括投資ではなく、毎月積み立てる
- 資産の分散:株式だけでなく債券やREITも組み合わせる

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対策3:積立投資を活用する(ドルコスト平均法)
毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」は、価格が高い時には少なく、安い時には多く購入することになるため、購入単価が平均化されます。
たとえば月5万円を積み立てる場合のイメージです。
- 基準価額が高い月(15,000円)→ 約3.3口を購入
- 基準価額が低い月(10,000円)→ 5.0口を購入
- 結果として、平均購入単価を抑えられる
暴落が発生した局面では「安く大量に購入できるチャンス」として機能します。心理的には不安を感じるかもしれませんが、長期的に見ればプラスに働く場面が多いのです。
対策4:暴落時に売却しない
これが最も重要で、同時に最も難しい対策かもしれません。
過去の暴落はすべて数年以内に回復しています。
- ITバブル崩壊 → 約5年で回復
- リーマンショック → 約5年で回復
- コロナショック → 約6ヶ月で回復
暴落時に売却すると「損失が確定」してしまいます。しかし保有を続ければ、回復を待つことができます。
暴落のニュースに煽られてパニック売りするのは、投資で最もやってはいけない行動です。「暴落は一時的、成長は永続的」と覚えておきましょう。
対策5:生活防衛資金を確保しておく
生活費の3〜6ヶ月分を現金で手元に置いておくことが大切です。急にお金が必要になったとき、投資信託を売却せずに済む体制を整えておきましょう。
暴落のタイミングで「生活費のために売るしかない」という状況に陥ることが最悪のシナリオです。投資は余裕資金で行う――この原則を守ることが、最大のリスク対策になります。

対策6:リスク許容度に合った商品を選ぶ
株式100%のファンドは長期的なリターンが高い反面、暴落時の値下がり幅も大きくなります。「30%の下落に耐えられそうにない」と感じる方は、バランス型ファンドを検討してみてください。リターンは控えめになりますが、暴落時のダメージが小さく、精神的な負担を軽減できます。
リスク許容度別のおすすめ商品
| リスク許容度 | おすすめファンドタイプ | 暴落時の想定下落率 |
|---|---|---|
| 高い | 全世界株式・S&P500 | 約30〜50% |
| 中くらい | バランス型(株式70%・債券30%) | 約20〜35% |
| 低い | バランス型(8資産均等) | 約15〜25% |
自分の性格や家計の状況に合った商品を選ぶことで、暴落局面でもパニックにならずに保有を続けられます。
NISA口座での損失には税制上のデメリットがある
意外と知られていない点ですが、NISA口座で発生した損失は「損益通算」の対象になりません。通常の特定口座で損失が出た場合は、他の利益と相殺して税金を減らせますが、NISA口座ではこの仕組みが使えません。
だからこそ、NISA口座では「長期保有で利益が出る可能性が高い商品」を選ぶことが重要です。短期売買を繰り返すような使い方はNISAには向いていません。

最悪のタイミングで始めた場合のシミュレーション
リーマンショック直前の2007年10月に全世界株式への積立投資を始めたケースを見てみましょう。
- 1年後:約-50%(元本の半分に減少)
- 3年後:約-20%(まだマイナス圏)
- 5年後:約+20%(プラスに転換)
- 10年後:約+100%(元本の2倍)
- 15年後:約+200%(元本の3倍)
歴史上最悪のタイミングで始めたとしても、5年で回復し、15年で3倍になりました。これが積立投資の底力です。
まとめ:元本割れは「一時的な通過点」にすぎない
- 15年以上の長期投資を前提にする
- 全世界に分散された商品を選ぶ
- 毎月コツコツ積立でドルコスト平均法を活用
- 暴落時に絶対に売らない
- 生活防衛資金を確保してから投資する
- 自分のリスク許容度に合った商品を選ぶ
元本割れは投資をするうえで避けられないリスクですが、長期的に見れば「一時的な通過点」にすぎません。株式市場はこれまで幾度もの暴落を乗り越えて成長を続けてきました。
投資のリスクについてさらに学びたい方は、金融庁の新NISA特設ページや日本証券業協会「投資の時間」で基礎から学ぶことができます。
投資に関するトラブルが発生した場合は、日本証券業協会の相談窓口に相談できますので、覚えておいてください。
※記事執筆時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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