株式投資を始めると必ず目にするのが「PER」と「PBR」という指標です。なんとなく「株が割安かどうかを判断するためのもの」ということは知っていても、実際にどう使いこなせばよいのかわからないという方は多いのではないでしょうか。
PERとPBRは、投資判断において欠かせない基本中の基本の指標です。この2つを正しく理解できれば、銘柄選びの精度が格段に上がります。
この記事では、PERとPBRの基本的な考え方から実践的な使い方、さらには初心者が陥りやすい落とし穴まで、具体例を交えながら徹底的に解説します。
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PER(株価収益率)をわかりやすく解説
PERとは
PERの計算式は非常にシンプルです。
PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益)
PERは「今の株価が、1年分の利益の何倍で取引されているか」を表す指標です。Price Earnings Ratioの略で、「ピーイーアール」と読みます。
具体例で理解する
ある会社の株価が1,500円、EPSが100円だとすると、PERは15倍です。これは「この会社が現在のペースで稼ぎ続けた場合、15年分の利益で株価に相当する金額を稼ぐ」ことを意味します。
- PER10倍 → 10年分の利益 → 比較的割安
- PER20倍 → 20年分の利益 → やや割高
- PER50倍 → 50年分の利益 → かなり割高(ただし高成長企業なら妥当なケースもある)
PERの目安
日本株全体の平均PERはおおむね14〜16倍程度です。ただし、業種によって「標準的な水準」は大きく異なります。
- 銀行・保険:PER 8〜12倍(低めが通常)
- 製造業:PER 12〜18倍
- IT・テクノロジー:PER 20〜40倍(高めが通常)
- 成長ベンチャー:PER 50倍以上も珍しくない
したがって、「PER30倍だから割高」と一概に判断することはできません。同じ業種の他社と比較するのが正しい使い方です。

PERが高い理由・低い理由
PERが高い企業は、市場が「将来もっと利益を伸ばすだろう」と期待している証拠です。成長企業やブランド力の強い企業はPERが高くなりやすい傾向があります。
PERが低い企業は、「成長が見込めない」「リスクが高い」と市場が判断している可能性があります。ただし、単に市場から見落とされている「割安株」である可能性もあり、ここがバリュー投資の狙い目になります。
PBR(株価純資産倍率)をわかりやすく解説
PBRとは
PBRの計算式も非常にシンプルです。
PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)
PBRは「今の株価が、会社の解散価値の何倍で取引されているか」を表す指標です。Price Book-value Ratioの略で、「ピービーアール」と読みます。
具体例で理解する
ある会社の株価が2,000円、BPSが1,000円だとすると、PBRは2倍です。これは「この会社の資産価値の2倍の値段で株が取引されている」ことを意味します。
- PBR1倍未満:会社の資産価値より安い価格で株が売られている → 理論上は割安
- PBR1倍:株価と資産価値がほぼ同等
- PBR2倍以上:資産価値の2倍以上の価格 → ブランド力や成長期待が織り込まれている
PBR1倍割れの意味
PBRが1倍を下回るということは、極端にいえば「今すぐ会社を清算した方が株を持ち続けるより得」ということを示しています。日本の株式市場ではPBR1倍割れの銘柄が非常に多く、東京証券取引所が2023年から「PBR1倍割れ改善」を企業に求める動きが話題となりました。
記事執筆時点でもこの流れは続いており、PBR1倍割れ企業が改善策を発表すると株価が上昇するケースが増えています。投資のチャンスとして注目すべきポイントです。
PBRの目安
- 製造業・金融:PBR 0.5〜1.5倍が多い
- IT・サービス:PBR 3〜10倍もありえる(無形資産が多いため)
- 不動産:PBR 1倍前後が標準的
PERとPBRの使い分け
「どちらを重視すればよいのか」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。結論から申し上げると、両方を見るのがベストです。それぞれ測定しているものが異なるためです。
PERが向いているケース
- 安定的に利益を出している企業の評価
- 成長企業の将来性を判断するとき
- 同業他社との比較
PBRが向いているケース
- 赤字企業や利益が不安定な企業の評価(PERが算出できないため)
- 資産が多い企業(不動産・銀行など)の評価
- 下値の目安を考えるとき(PBR1倍が一つの底値の目安)
合わせ技:PER×PBRで見る
PERもPBRも低い企業は「ダブルで割安」の可能性があります。スクリーニングで「PER15倍以下 かつ PBR1倍以下」のような条件を設定すると、割安株の候補を効率的に見つけることができます。
実践的な分析例
同じ業種のA社とB社を比較した具体例を見てみましょう。
A社
- 株価:3,000円
- EPS:200円 → PER 15倍
- BPS:2,500円 → PBR 1.2倍
- ROE:8%
B社
- 株価:2,000円
- EPS:250円 → PER 8倍
- BPS:3,000円 → PBR 0.67倍
- ROE:8.3%
数字だけを見るとB社の方がPERもPBRも低く「割安」に映ります。しかし、ここで重要なのは「なぜB社は割安なのか?」を考えることです。
- 成長性がないから市場から期待されていないのか?
- 訴訟や規制などのリスク要因を抱えているのか?
- それとも単に市場から見過ごされているだけなのか?
この「なぜ?」を掘り下げていくことが、ファンダメンタル分析の醍醐味です。

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PER・PBRの落とし穴
PERとPBRは便利な指標ですが、鵜呑みにすると判断を誤ることがあります。よくある「罠」を把握しておきましょう。
罠1:一時的な利益でPERが低く見える
不動産売却などの特別利益が発生すると、一時的にEPSが跳ね上がりPERが低下します。しかし翌期にはEPSが元に戻るため、実際には「割安」とはいえません。本業の利益(営業利益)ベースでPERを確認する習慣をつけることが大切です。
罠2:赤字企業にPERは使えない
EPSがマイナス(赤字)の場合、PERはマイナスになるか算出不能となります。赤字企業の評価にはPBRやPSR(株価売上高倍率)を使いましょう。
罠3:PBR1倍割れ=お得とは限らない
PBR1倍割れであっても、含み損を抱えた資産があったり、利益を出せない体質であったりすると、実際に清算しても株主に十分な資金が戻らないことがあります。帳簿上の資産価値と実際の価値は異なるケースがある点に注意が必要です。
罠4:業種を超えて比較しない
IT企業のPER30倍と銀行のPER30倍はまったく意味が異なります。PER・PBRでの比較は、必ず同じ業種の中で行ってください。異なる業種間で数値だけを比べるのは、初心者が陥りやすい典型的なミスです。
PER・PBRを確認する方法
実際にPERやPBRを確認する方法は非常に簡単です。以下のいずれかで手軽にチェックできます。
- 証券会社のアプリ:銘柄の詳細画面に必ず表示されています
- Yahoo!ファイナンス:銘柄コードで検索すればすぐに確認可能
- 株探:業績と合わせてPER・PBRが確認でき、分析に便利です
- スクリーニング機能:「PER15倍以下」のような条件で銘柄を絞り込むことも可能
まとめ:PERとPBRは投資判断の「基本装備」
PERとPBRは、株式投資をするうえで避けて通れない基本指標です。要点を整理します。
- PERは「利益に対して株価が何倍か」→ 稼ぐ力に対する市場の評価
- PBRは「資産に対して株価が何倍か」→ 保有する財産に対する市場の評価
- どちらか一方ではなく、両方を組み合わせて判断する
- 同業他社と比較して初めて意味を持つ
- 数字だけでなく「なぜその水準なのか」を考えることが最も重要
銘柄分析の実践には株探が使いやすいです。より詳しい財務データを確認したい場合はバフェット・コードもおすすめです。PER・PBRの基礎知識についてはJPXの投資家教育ページ(www.jpx.co.jp・サイト終了)でも学ぶことができます。

※記事執筆時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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